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酒40、食30、店10、物10、他10。たぶん。


by ranjin
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川端道喜「和菓子の京都」

川端道喜著「和菓子の京都」を拝読しました。川端道喜は以前「おいとぽい」でもご紹介した様に京都に450年以上続く御粽司、和菓子舗です。
内容についてですが、タイトルそのままというよりは、和菓子を中心として京都の歴史を紐解いていくという文化、歴史エッセイという感じのものです。語りの文体で、くだけてはいるものの丁寧な口調なため、読みやすいと感じました。
当然、粽の事はふれられています。御所(天皇)とのかかわり、天皇が東行してからの茶家とのつながりなど、各時代の道喜のことが記されています。
それだけではなく、最初が祗園からはじまり、ある種の京都文化論が掴みにくる辺りにただの和菓子舗の親父の文ではないなと思わされます。歴史的な考察や今後の和菓子観にも持論があって、大変読み応えがあります。
それらを通じてもやはり貴重な事は、川端家というものがどの様に京都で生きてきたかということを、ご本人が記述していることです。その中で家伝の文書や品物が登場するので、他には見られない内容にしあがっています。大変文化的に価値ある本だと感じました。
なお、こちらの本は岩波新書より1990年に出版されたものですが、現在では絶版となっている様です。ただ、一時期復刊されていた様です。どうも定期的に復刊しているのかもしれません(現在入手可能ではない様ですが)。
なお、こちらの著者である15代川端道喜さんは1990年にご逝去されたそうです。
余談ですが、返す返すも京都旅行の時に、水仙粽を京都高島屋で買い忘れたのが残念です(生風庵の和菓子を買ったときには置いてあって、翌日には無くなっていたのでした)。


by ranjin | 2006-01-05 01:02 |